2015.09.24 Thursday

cover更新しました

Cover 04 橋本とし子さんの写真

今年の6月に六本木AXISで開かれたフォトマルシェで、大好きな橋本さんの写真を2点購入しました。その一点がこの月と海。(もう一点のモノクロの作品はBook Photo PRESSのFacebookで、写真の飾り方のひとつとして紹介しています。)実はかなり前に、この写真と同じような夢をみたことがあります。夢の中では水平線の船がくるくる回っていました。そして海に背を向けて浜を歩いて行ったら大きな幕が吊ってあり、夜の海は舞台だったという落ち。その頃、ビデオでフェデリコ・フェリーニの「そして船は行く」という映画を見たせいかもしれません。

サイトに掲載する文章をお願いした時に、橋本さんはこんな事をメールに書いてくださった。「自分の写真と、今自分を取り巻く状況との乖離(かいり)を感じています。ただ、それも私の中のひとつの真実であったと思い、あのような文を書きました。」橋本さんは、あの夢のような風景は本当の事だったのだろうか?と思わざるをえないような不安な時代であると強く感じているのでしょう。同じように感じているのは私も一緒です。ここのところ、誰の心にもじわじわと不安感がわいていて、残念ながら、のん気にしていられる世の中ではなくなった。しかし、そんな状況にあっても、発見する目さえあれば美は間違いなくいつでもそこにあって、どんな時も私たちを潤してくれるものには違いない、とそう思っています。夕焼けや虹を目にして、一瞬でもそれに心を奪われない人はいないはずですから。

橋本とし子さんはこれからも美しく大切な何かを発見して、それを写真にして行かれることと思います。うっとりと見とれてしまうような、この海と月の写真は、今はいつも目に入る場所に飾って楽しんでいます。

「本と写真」の表紙は、森と動物、雪の山と湖、太陽と人、今回の月と海、というように、写真の力を借りて、いつの間にか自然を巡っていました。まっすぐにその意味が伝わるのは、写真の得意とするところです。今までよりも、もう少し意識的に、その写真の得意技を生かす事をいろいろな面で考えたいと思っています。