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06 師匠と弟子の本

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この展覧会は偶然の出会いでした。展示されていたのは、ウィーンに生まれ、その後ロンドンを作陶の地に選んで活動していたルーシー・リーと、彼女のアシスタントだったハンス・コパーの作品。師匠と弟子の展覧会です。
この展覧会で、二冊の本がひとつの函に入った作品集を買いました。二人を同等に扱った作品集は、弟子が師匠に与えた影響の大きさと、その才能の価値を物語っています。二冊の本は、同じような見せ方に徹して作られていて、本当に気持ちよくお揃いです。

そもそも師匠と弟子がこういう形で本になることがあるのでしょうか。今、別の例を思い出そうとしても、なかなか思い出せませんが、おそらく同等、並列にするのが難しいというのが普通の考え方なのでしょう。
この作品集の特筆すべきことは、師匠と弟子の本、ということですが、写真も素晴らしく、作品が創りだす雰囲気までが写っています。写真家の目が作品だけを見ていたのか、それとも作品が生まれた様々な背景や場所や作家のことまでも含めて見ていたのか、という事は大きな違いで、これは写真を撮ることの本質的な部分なのだと思います。

彫刻家を目指していたハンス・コパーは、ルーシーのアシスタント(1946~)の一人でした。ある時から彼の才能を見抜いたルーシーは、売るための陶器のボタンやカップ&ソーサーを作った後に、一緒に作品制作をしていたそうです。(共同制作された作品の裏側には、二人のイニシャルが刻まれた陶印が二つ入れられた。)ウィーンからロンドンに移った後、自分の進むべき方向に迷いが生じていたルーシーに、冷静で的確な意見を言い、彼女に自信を取り戻させたのもハンスでした。師匠と弟子というよりは、厚い信頼関係に結ばれた二人の陶芸家の作品は、一見全く違う顔つきですが、見ていくと確実に感性が重なっているように思います。

1990年に脳梗塞で倒れ、制作に終止符を打つまでに、ルーシーとハンスの共同展が幾度となく行われ、ハンスに加え、教え子たちとの共同展をロンドンで開いています。私が偶然見た展覧会は、ルーシーの没後初めて開かれた、『Potters in Parallel』というタイトルのついた、陶芸家として二人が全く同等に扱われた初めての展覧会でした。タイトルの通り、ギャラリーの通路を挟んで二人の作品が向かい合うように並列に展時されていたのを覚えています。
補足…ルーシー・リー(1902-1995)/陶芸家。ウィーンに生まれ、若い頃から数々の国際展に参加。1938年、イギリスに移住して作陶を続け、先んじた技術、作風は近代陶芸に多大な影響を与えた。1946年よりハンス・コパー(1920-1981)がルーシーの工房に参加。その後、12年にわたり共同制作をする。
日本では1989年に東京の草月会館と大阪市立東洋陶芸美術館で、三宅一生氏主催のルーシー・リー展が開かれた。最近では、2010年4月28日(水)~6月21日(月)に東京・六本木の国立新美術館で、国内外の優れたコレクションから選りすぐった約250点の展示からルーシー・リーの創作の軌跡を追う、没後初の本格的な回顧展が開かれている。
題 名 HANS COPER / LUCIE RIE ハンス・コパー/ルーシー・リー

(c)1987,1994 Tony Birks / MARSTON HOUSE
著 者 Tony Birks
サイズ 220mm×279mm
購入した時期 1997年
購入した場所 イギリス ロンドン バービカン・アート・ギャラリー